わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
生徒玄関まで来ると、私は一度立ち止まって耳を澄ませてみた。
…人の気配はない。
音もしないし、悲鳴も聞こえない。
みんな隠れているのかな?
そうなると、1つ1つ教室を覗いていくしかない。
ついでに、黒田くんがラジオで言っていた『俺たちの教室』にも何かあるか調べてみないと。
…『俺たちの』って、何年何組なんだろう。
ここは隣校なんだから、私たちの1年1組とは別だよね。
黒田くんは前の学校では何年何組だったんだろう?
さっき、聞いておけばよかったなぁ…。
色々と処理に追いつけなくて、すっかり忘れていた。
…そういう意味では、正秀くんを見て、かえって少し落ち着けたような気がする。
思い出すと涙と恐怖がぶり返してくるから、無理やりパチパチと頬を叩いて思考を切り替える。
まだ転校してきてそう時間が経っていない私でも、こんなにショックを感じているんだから。
特に正秀くんと仲が良かった陽くんなんて…この比じゃないくらい辛いだろう。
それに、私はあの3人と一緒に来たことで、少しだけだけど状況が飲み込めている。
なら、私はパニックになっている場合じゃないはずだ。
みんなを助けなきゃ。
初めての転校で不安だった私に、すぐに話しかけてきてくれたみんなを。
もう一度改めて決意を固めた私は、まっすぐ前を見据えて再び歩き出す。