わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
まずは、生徒玄関の真横の教室から見ていこう。
ここは…札がついてない。
空き教室かな?
音を立てないように細心の注意を払いながら、そっと、ゆっくりとドアをスライドする。
私1人がギリギリ通れるくらいだけ開けて中を覗いてみるけれど、何かがいるような気配は特にない。
というかこの空き教室には机も椅子もなくて、掃除用具入れとダンボールがいくつか、あとはロッカーくらいしかなかった。
これじゃあ隠れ場所には向いてないにもほどがある。
〈あの子〉から逃げるとき、ここには来ないようにしよう。
開けた扉はそのままに、次の教室に移る。
この教室も空き教室のようだけど、こっちは色々ものが多くて倉庫みたいになっているらしい。
…まあ、箱とかが置いてあるわけではないから隠れられるかって言ったら微妙なところだけど。
ここにも人の気配はなくて、すぐに教室を出る。
次は…生徒会室か。
扉に手をかけながら、ドアについた窓ガラス越しに中を覗く。
「!」
生徒会室には長テーブルがいくつか置いてあって…その向こうに人影らしきものが見えて、ドキッとする。
しゃがんでいるのか、頭が机から少しはみ出たような形でしか見えない。
…あれじゃあ、知っている人なのか〈あの子〉なのかわからない。
どうか、知っている人でありますように…!
緊張感に襲われて、無意識に扉を開ける手に力が入る。
…カタンッ!
「〜〜っ!!」
しまった…力みすぎて音を出してしまった…!!
慌てて手を引っ込めたけど、もしあれが〈あの子〉だったら…っ!
机の向こうの影が、ピクリと揺れた。
一歩後ずさりして、いつでも逃げれるように構えつつ様子を伺う。
…あれがなんなのかは確認しておきたい。
〈あの子〉じゃなければそれでいいし、〈あの子〉ならどんな姿なのか知れるだけで大きい。
今にも逃げ出したい衝動を何とか抑え込んで、教室の中をジッと注視する。
…けれど、いつまで経ってもその影は動き出さなかった。