わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜



「………?」



いや…それどころか、震えてる?



一度引っ込めた手をまた扉にかけて、ゆっくりと開いていく。


影は動かない。



「………誰かいるの?」



意を決して、入り口からそっと声をかける。


その声に反応するように、また影がピクッと動いた。



そして、ゆっくりと机の向こうから顔を出す。


暗闇の中に浮かんだその顔には、見覚えがあった。



「……結菜ちゃん?」


「…、舞…?」





机の向こうから姿を現したのは、泣き腫らした結菜ちゃんだった。


私の姿を確認するなり、パッと立ち上がって駆け寄ってくる。



「結菜ちゃん!良かった、無事だったんだね」


「舞ぃ〜っっ!!」


「しっ!あんまり大声出しちゃダメだよ。危ないから…」



抱きついてきた結菜ちゃんを連れて、そのまま生徒会室から出る。


ここは出入り口が1つしかないみたいだから、もし〈あの子〉が来たら逃げ道がない。



廊下は見晴らしがいいから気分的には見つかりそうで怖いけど、盲目だというならそんなことは関係ないはずだ。



「ねぇ舞…!なにがどうなってるの?ここはどこ!?さっきのあれ何?なんでこんな真っ暗なの!?黒田狛は!?」


「ま、待って結菜ちゃん…!」



やっぱり結菜ちゃんもパニックになっているらしく、早口で捲し立てながら迫ってくる結菜ちゃんを両手で制する。



そうだよね、事情を知っているであろう3人と一緒にいた私でさえパニックになってたんだから。


その顔は恐怖に染まっていて、いつもの明るさなんてカケラもない。



しっかりと目を見ながら、落ち着かせるようにゆっくり口を開く。



< 49 / 119 >

この作品をシェア

pagetop