わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜




結菜ちゃんを連れて、そのまま1階を見て回る。



生徒会室の隣は事務室、その隣は〈あの子〉が出てきたという保健室…。


かなりビクビクしながら中を覗いたけれど、どちらも特に何もなかった。



そのまま校舎を時計回りに、職員室、職員玄関、放送室、会議室…と、どんどん回っていく。



最初はそーっと、そーっとを心がけすぎてかなりスローペースだったのも、ここまで来ると早くなってくる。


もちろん、音を立てないように細心の注意は払っているけれど。



会議室近くのさっき私が降りてきた階段で上に登ってしまうと、正秀くんが…亡くなっている場所に出てしまうから、そのまま1階を進んで生徒玄関前の階段を使おう。




そう思って、慣れた手つきで教室を開けていく。


そして、次に移ろうとした時。



「ねぇ、舞…」



ずっと黙り込んでいた結菜ちゃんが、くいっと私の服の裾を引いた。




「うん?どうしたの?」


「…あのね…もし、愛菜に会ったら…」



振り向くけれど、俯いた結菜ちゃんの顔は見えない。


結菜ちゃんは私の服を掴んだまま、何か言うのを躊躇っているようだった。


こんな時だからなのか、それとも話の内容のせいなのか、チラリと見える口元はいつも笑っている結菜ちゃんらしくもなく引き結ばれている。



「結菜ちゃん……」



カラカラ…



「っ!!」



突然、前方の扉が開く音がして身構える。


結菜ちゃんもハッとしたように服に掛けた指を離し、勝手に開いたドアを見つめる。



今開けようとした教室の隣の教室…つまり、家庭科室だ。



すぐに、家庭科室から影が現れる。



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