わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「…ごめん、舞」
「ううん…気にしないで」
どんどん暗い顔になっていく結菜ちゃんに、なんとか元気を出してもらえないかと微笑みかけてみるけれど。
結菜ちゃんの目線は私を捉えていなくて、ジッとただ地面を見つめていた。
今度は、愛菜ちゃんが私の肩にそっと手を乗せる。
「舞ちゃん…あのね、正直、私もまだ信じられなくて…。
その、…確認してもいいかな」
「え……。見る、ってこと?」
「うん…。
多分、実際に見ないと理解できないから」
「…結菜ちゃんも、見たいの?」
「…うん。確かめたい。本当に、正秀なのか」
「そっか…。わかった。案内するよ」
「ありがとう、舞ちゃん…」
本当は…あんな姿、もう二度と見たくなかったけれど。
気力だけで来た道を引き返して、階段を登る。
…足が進まない。
この先に何があるかわかっているから。
見たくない。見たくないよ…。
階段の登りきると、大きな血だまりが私たちを待ち受けている。
2人はその血だまりに息を呑んで、ゴクリと音を鳴らした。
…ゆっくりと、3人で、血だまりの奥に目をやる。
多分、ここから見える人影はただ倒れているようにしか見えない。
だから、2人は血だまりの中を進むだろう。
そう予測して、私は奥に行きかけた視線を元に戻した。
…もう見たんだもん。
無理に、もう一回見ることもないよね…。
もう一回見る勇気がどうしても出なくて、2人の反応をただ待つことにする。