わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「…なーんだ。ないじゃん。死体とか」
「えっ?」
「血の池みたいなの出来ててそりゃびっくりしたけどさ。
舞もびっくりしすぎて幻覚見たんじゃない?」
「嘘…そんなはず…」
結菜ちゃんの言葉にパッと顔を上げると、さっき見たのと変わらない血の海が広がっている。
けど。
…正秀くんがいた場所には、何もなくなっていた。
「…なんで…?違う、あれは幻覚なんかじゃ…」
「幻覚だよ。だってないもん。死体は消えたりしないでしょ?
あ、それか、舞が見たときは気絶してただけで、その後移動したとか」
「それは……」
ありえない。
だって、あんなにぐちゃぐちゃになってたんだもん。
それでも生きてるなんて、そんなことあるわけないよ…。
「…結菜…舞ちゃんはきっと幻覚なんて見てないよ」
「なんでっ?」
愛菜ちゃんの諭すような言葉に、結菜ちゃんは泣きそうな顔で言葉を返す。
それを受けて、愛菜ちゃんはそっと血だまりの中に足を踏み入れた。
そして、一直線にその場所へ向かっていく。
ちょうど私が正秀くんを見た方に。
「だって、ほら…」
そして、その場所で少ししゃがんで…何かを拾い上げた。