わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
「これ…わかるよね、結菜」
「あ……あぁ………!」
目を伏せた愛菜ちゃんが拾い上げたもの。
それは、赤色のヘアピンだった。
「…ヘアピン?」
「これはね、舞ちゃん。元々は結菜のものなんだよ」
「正秀………正秀………!」
結菜ちゃんは血だまりに入ってくることすら出来ずに、その場にペタンと座り込んでしまった。
愛菜ちゃんは私に目線を合わせて、言葉を続ける。
「昔正秀くんの前髪が長くなってて…邪魔そうだったから結菜が貸したの。
それからはずっと正秀くんが持ってた」
愛菜ちゃんが血だまりから戻ってきて、赤色のヘアピンをよく見せてくれる。
…違う。これ、赤色じゃない。
血で染まってるだけで…本当は銀色だ。
「それからね。歩いて出ていったっていうのも…違うと思う」
「……なんで」
「だってほら…血だまりから出たなら、足跡が残るはずだよ。
私たちが上ってきた階段についてるのは舞ちゃんの足跡だよね」
「う、うん………そうだと思う」
「……………」
確かに、そうだ。言われて初めて気づいた。
周りをよく見ると、血だまりから出ていった足跡は1つしか見当たらない。
そして、それは私が最初に正秀くんを見つけた時のやつで…明らかに男の子にしては小さすぎる靴跡だった。
結菜ちゃんはもう何か言う気力すらなくなってしまったのか、呆然とその足跡を見ていた。