わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
…なんでかな。
愛菜ちゃんの言っていることは全部正しい。
1個も間違ってないよ。
…けど。
…なんでかなあ。愛菜ちゃんが怖いよ…!
「愛菜ちゃん…あの…もう、やめよう?
…はやく、みんなを見つけなきゃ…」
「みんな?」
「あ…えぇと。私と一緒にここに来た人も…」
「私たちの他にもいるの?誰?クラスの人?」
「ううん、隣校の…」
「隣校…。もしかして、ここって隣校なの?」
「そ、そうみたい…そう言ってた」
「ふぅん…。そっか…。
…そうだね。早く合流したほうが、安心だよね」
「……うん」
チラ、と結菜ちゃんを見るけれど、結菜ちゃんは私たちの話を聞いてるのか聞いてないのか、焦点の合っていない目でボーッと血だまりを見つめている。
結菜ちゃん…大丈夫かな。
こんな状態でみんなを探し回れるとは思えない。
それに、もし今ここに〈あの子〉が来たりなんてしたら…。
間違いなく、逃げられないだろう。
「結菜ちゃ…」
「結菜」
「…………」
「…陽くんと、他の人を探そう?
結菜まで死んだら、私嫌だよ」
私の声を遮って、愛菜ちゃんが結菜ちゃんの前にしゃがんで顔を覗き込みながら言う。
それから愛菜ちゃんは、ギュッと結菜ちゃんを抱きしめて背中をあやすようにポンポンと叩きはじめた。
…こういうのは、やっぱり双子同士の方がいいか。
私は一歩引いて、2人の様子を見守る。