わたしはみんなに殺された2〜贖罪の時〜
ウンメイ
ウゴキハジメル
私、篠咲 舞(シノザキ マイ)がこの学校に転校してきたのは、丁度二ヶ月くらい前のこと。
どうも「黒田 狛」という人と入れ替わったみたいに転校してきたらしい。
その人が隣の高校に転校した1週間後ほどに、私が転校してきたんだって。
学年は違うらしいけど、そんな話題が出るくらいだから…人気者だったのかな?その黒田くんって人。
「舞~。おはよう!」
「あっ、結菜(ユイナ)ちゃん、愛菜(アイナ)ちゃん、おはよう~」
「舞ちゃん、おはよう。
知ってる?今日転校生が来るんだって」
「えっ!転校生?
私が来てから二ヶ月しか経ってないのに、多いね?」
クラスメイトである双子の結菜ちゃんと愛菜ちゃんとは、転校初日から仲良くなった。
私のことを呼び捨てで呼ぶのが結菜ちゃん。
ちゃん付けで呼ぶのが愛菜ちゃんだ。
見た目はものすごく似ていてたまに間違えそうになるくらいだけど、性格も声も多少違うから、すぐにわかる。
「おっ、結菜と愛菜じゃん。
舞も、おはよっ」
「陽(ヨウ)くん!さあ、私は結菜か愛菜、どっちでしょう?」
わざと結菜ちゃんが陽くんを君づけし、さらに丁寧に話したかと思うと、いきなり質問を浴びせる。
すると、陽くんはふふんと胸を張りながら。
「俺をくん付けで呼ぶのは、愛菜だろ!」
…と言った。
その瞬間、私も結菜ちゃんも愛菜ちゃんも、吹き出して笑う。
「あははっ!バカ陽、愛菜じゃなくても口調くらい真似できるよーだ」
「陽くんってば、本当に結菜ちゃんと愛菜ちゃんをいつまで経っても区別できないんだね?」
「舞ちゃんはちゃんとわかってくれるのになぁ。
長く一緒にいるのは、陽くんの方なのにね」
「うっ…その…ごめん…」
バツが悪くなったのか、陽くんは目を伏せた。
陽くんと結菜ちゃん、愛菜ちゃんは幼馴染みなんだけど、陽くんはいつまで経っても二人を見分けられないらしい。
最初はそんなバカな…って思ったけど、陽くんは何に対しても鈍感というかなんというか、どこか抜けているみたい。
陽くんは天然で面白いし、結菜ちゃんは元気で明るいし、愛菜ちゃんは優しくて天使みたいだし、3人とも私の大切な友達だ。