君はいつも哀しそうで




ひとり奥の方の棚に移動したみーは迷うことなく一つの資料を手に取って俺のもとに戻ってきた


みーの手には5年前の資料が抱えられていた



「そこの椅子に座って。たぶんこの資料であってると思う」

机の方を指さしながら丁寧に答えてくれる




俺が奥の椅子にすわり、机を挟んだ正面にみーが座った

パラパラとめくられる手が止まったのはだいぶ最後までめくったころ



「…これだ」

そう言って資料を俺の方へ向けると、見やすいようにこちらへ寄せてくれた


「2011年9月11日、今から約5年前の事件なんだけど。
風見組(かざみ)の組員が袋叩きにあったの
自分たちの領域を巡回中だった一人の組員に6人が暴行した。
発見されたのは翌日の8時ごろで、巡回から帰ってこないのを探してて見つけたらしい。
その人はなんとか無事だったらしいんだけど、この写真…」


めくられた次のページにあった写真の一つを指さしたみー

その写真に目を通す


そこには、職員室の外の壁に書かれた“1”のものとほとんど同じ落書きがされていた





「これ…」

驚きで少し見開いた目

まさか同じ人間が関係してるのか?





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