君はいつも哀しそうで


駅を出て、5分

歩いたら10分弱はかかるけどそれだけ止まらずに走ってきた

彼女の息があがってきた頃、
俺の息も少し乱れてきた頃、


たどり着いたそこは大きな、いかにもな人が出てきそうな家だった





「ここ、俺の家」

彼女の目を見た

少し驚いて周りを見渡していた


彼女の目に写る俺の家は想像よりも少し違ったらしい

一通り見終わって帰ってきた目と目がぶつかり合う



「やっぱり龍喜もなんだ」

「緒方って苗字聞いてて何となく想像はしてた」

「…お互い様だね」

「もしかして私のことも知ってた?」

自傷的なその声に反応しなかった
無視した。スルーした



「俺は美夜なんかよりたくさんの人間を殺してる
これからも、ずっと殺さなきゃならない」


「緒方は頂点だ

生温いことなんて言ってられない


こんなにも嫌いだと思った世界はなかった
でも、
俺は途中から殺すことにした

俺は俺の感情を殺した

普段の学校とかでは無理かもしれないけど、


せめて、この家にいる時はそうしようと思った」


どんな目をしているんだろう

俺は憎しみの感情しかこもっていない残虐な目をしているだろうか


それほどまでに俺はここが嫌いで嫌いでしょうがない






そっと手を取られた

ギュッと握られた

その目は心から安心させてくれる様な目だった


「そうだね。同じだよ」

その言葉にどれだけ救われただろうか



俺は、独りじゃなかった


「龍喜はひとりじゃない
私も同じだよ」






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