君はいつも哀しそうで
PM11:00 山代組 正面入り口
あの後、じじいに話をつけに行き、そのままの足でここに向かった
緒方側の組員は全部で45人
俺と隆、幹部連中合わせたら50人だ
本当なら組員に俺と隆の2人で十分だったが、じじいが幹部の運動がてらに連れていけと3人も付けられた
まあ、足で的いになるわけじゃねーし
それに人数は多いに越したことはない
俺が楽もできるしな
「龍喜様、そろそろ」
すっかり仕事モードの隆
どこでこんなに切り替えてんだと思うほど仕事とプライベートの切り分けがはっきりしている
「んじゃあ、行くか」
その言葉を合図に各持ち場に就いていた奴らが一斉に動き出す
普通なら正面が一番危険だが、あえて俺はいつも正面にいる
多少のスリルくらい必要だろ
それと、
一番に頭のところにたどり着くには正面がいいことを経験上分かっていた
何処からともなく聞こえてくる怒声、罵声、発狂する声
耳障りだ
どいつもこいつも馬鹿が揃ってるらしい
目の前の屋敷から飛び出してくる敵の組員たち
そいつらの動きは全部スローモーションのようで
また、俺の目に映る景色は全てモノクロだった
唯一色があるとすれば、血くらいだ
今日もまた俺に沈んでいく