君はいつも哀しそうで
改札を潜りホームへとエスカレーターをのぼりながら颯が口を開いた
「りゅうちゃんもさぁ…もういいと思うけど?」
は?と思いながら颯を見ると
こっちを見ずに前を見ていた
「なにが」
わかってないわけじゃない
颯が言っていることが心の奥底で沈殿している
それがまた動き出し体内を這いずり回る感覚がめぐる
目が回りそうなくらい頭に痛みが走る
まだまだ引きずっている自分がいることに吐き気がした
でも…そこに現れたのが彼女だった
エスカレーターを上りきった
目の前に彼女がいた
それだけで俺の世界が色づき始める
「もう十分苦しんだよ。りゅうちゃんは」
颯の方にもう一度目を向けた
颯は、笑っていた
それに反応せず、今度は彼女を見た
彼女が振り返った