優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
…この日を境に、藤岡部長を、どこか意識してしまう自分がいて、戸惑いを隠せなかった。

…それに引き換え、藤岡部長は、いつもと何も変わらない。

誰にでも優しいし、誰にでも笑顔で接している。

…他の人と同じ。私は、みんなと同じ扱いを受けているんだ。

だから、あの日の晩の事は、きっと、みんなにも同じ様にしている事なのかも。

そう思うと、意識してしまっている自分が、何だか嫌になった。

「…午後は、取引先に出向くので、オフィスを空けますが、大丈夫ですか?」

私のデスクまで来た藤岡部長が、問いかける。

「何も問題ありません。藤岡部長は、自分の仕事に集中していただいて結構です」

「うん、わかりました。後の事はお願いしますね。…あ〜、何かあったら、僕の携帯に直ぐに連絡して下さいね。飛んで帰って来ますから」

そう言って微笑んだ。

「…そんなにのんびりしてて大丈夫ですか?時間…」

そう言って、掛時計を指差す。

「…あ、ヤバ。それじゃあ、行ってきます」
「…いってらっしゃい」
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