優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
…2人が会議室を出て行った途端、身体中の力が一気に抜けた。

安田専務の謝罪には驚いたけど、頑張って頭を下げ続けた事は無駄じゃなかった。

そう思うと、どっと、涙が溢れだした。

…会社では泣かないと決めていたのに。

…でも、今だけ、少しだけ泣いてもいいよね。誰もいないし。

少し泣いたら、いつも通りの自分に戻る。そう決めて、思いっきり泣いた。

「…有藤さん?」
「…‼︎」

部屋に、誰かが入ってきていたなんて、気づきもしなかった。

…こんな、泣きはらした顔で、振り返れるはずもなく。

だんまりを決め込んだ。

「…大変でしたね。安田専務、怒り出すと手がつけられませんから」

そう言いながら、一歩ずつ私に近づいてくる…藤岡部長。

「藤岡部長ですか?安田専務に謝らせたのは」

「…いいえ、安田専務が自分から、言いたいと」

「…ありがとうございます」

藤岡部長は、部下の為なら、なんだってする人だから。…素直にお礼を言う。

「人にお礼を言う時は、ちゃんと顔を見てって、小学生の時に、おしえてもらいませんでした?」

不意を突かれ、藤岡部長に振り返されてしまった。

「泣きたい時は、人の胸を借りると、遠慮せずに、泣けますよ」

そう言って微笑むと、藤岡部長は、私を優しく抱きしめた。
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