優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
『向こうに行ったら、かなり時間のかかるミーティングになると思いますから、僕たちは、そのまま直帰すると言う形にしておきますね』

そう言われていたので、私は、しなければならない仕事を、一生懸命終わらせた。

「有藤さん、いけますか?」

…午後になり、私と藤岡部長は、取引先に向かう。

取引先の担当者が、いくらフランス人だとしても、日本語くらい、話せそうなものだけど。

そうは思ったが、取引先での会話は、すべてフランス語になっていた。


…通訳をしながら進めるミーティングは、予想以上に時間がかかり、藤岡部長の言ってた通り、終わったのは、外が暗くなってからだった。

「…有藤さん、助かりました」
「いいえ、これも仕事ですので」

無表情にそう答える。

「…お礼に、夕飯でもどうですか?」
「…丁重にお断りします」

「どうしてですか?」
「…急にこの仕事が入ったので、自分の仕事が終わっていません。ですから、家に帰って仕事をしなければいけませんから」


「…僕を避けてる、という事はないですよね?」
「・・・」

…避けている。そうだ、確かに私は、藤岡部長を避けている。

「そうじゃいないなら、食事くらいいいじゃないですか?有藤さんは、仕事は誰よりも早いんですから」
「いえ、ですけど…キャッ・・・・」

…あろうことか、ヒールが、排水溝に引っかかり、つまずいてしまった。
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