優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
「…ぁ」

…災難は一度じゃ終わらないとはこの事か。

外は土砂降りの雨。

…オフィスに戻れば、折り畳み傘はあるけれど、こんな顔で戻るわけにも行かず、溜息をついた。

「…走ろう」

ポツリと呟き、雨の中に、歩み始めた。

「…待ってください!」
「…⁈」

その声に振り返ると、藤岡部長が傘を持って手を振っていた。

…でも、その声に応える事はなく、私は雨の中に飛び出した。

…。

女の足で男の足に敵うはずもなく。

あっさり藤岡部長に捕まってしまった。

傘の中に入れてくれて。…少し息の切れた藤岡部長が、珍しく怒った口調でこう言った。

「…なんで逃げるんですか?びしょ濡れになって…」

口調は怒っているのに、優しく私の肩をハンカチで拭う。
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