優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
《藤岡side》

…近づいたと思ったのに、麗美は、俺を避け、離れて行く。

…もっと、俺を見て欲しいと、その欲求ばかりが勝っていく。

…麗美に、近づきたい。…麗美に触れたい。…麗美の事をもっと知りたい。

…今日も残業で、麗美は一人、黙々と仕事をしている。…お昼も食べていないようで、休憩すら取っていない彼女が心配で、自販機に飲み物を買いに行く。

…少しでも、麗美に休んでもらいたくて。

「…お疲れ様です」
「…あ、お疲れ様」

隣りの部署の女子社員も、残業の合間の休憩に、自販機に飲み物を買いにきた。

先に譲り、女子社員がコーヒーを買うと歩き始めにつまづいた。

俺は咄嗟にその子を助けた。

「す、すみません」

恥ずかしさで一杯なのか、真っ赤な顔で謝られた。

「いいえ、それより、大丈夫ですか?」

その時だった。

曲がり角で、物音がしたのは。

小走りに去る後ろ姿に見覚えがあった。
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