優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
「…ちょ、ちょっと待ってください!」

周りが認めてくれても、当の本人が認めていない。そんな大役を、はい、そうですか、なんて、簡単に言えるはずかなかった。

「…では、僕は2、3日、引継ぎをしたら、その後は、全て、有藤さんにお願いしますので、よろしくお願いします」

その挨拶を終えると、私に目配せをした藤岡部長は、オフィスを出て行き、私はその後を追う。

藤岡部長が入って行ったのは、一番奥の談話室。今は朝、誰もいないので、ここは最適。

「…藤岡部長…じゃなくて、藤岡でもなくて…新條社長」

しどろもどろな私をクスクスと笑いながら、見つめる新條社長。

「…もう、なにがどうなっているのか、私には理解できません。なんで、藤岡部長が新條社長の息子なのか、なぜ突然代替わりして、私が海外事業部の部長をしなければいけないのか」

一気にまくしたてる。

「…さっき話した通りですよ」

至って冷静にそう答えた新條社長。
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