優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
店に入ると、一番奥のカウンター席に座った私たち。

「食べたいものはありますか?」

メニューを見せながら、そう問いかけてくる藤岡部長。

「…藤岡部長のおススメでお願いします」

と、相変わらずの無表情でそう答えた。

…本当はね?夏だし、冷たいビールを飲みながら、焼き鳥食べたり、枝豆食べたりしたいの。

でも、なんだか、甘えてるように見られたくない私は、そう答えるので精いっぱいだった。

「・・・・」

私の目の前に置かれたのが、どれも私が食べたいと思ったものばかりだったことに、驚いて、言葉を失った。

…居酒屋だもの。部長も、こんな物を食べているんだろう。そう思う事にした。

「お腹、空いてると思うんですけど、焼きおにぎりのお茶漬け食べてみます?実は隠れメニューなんですよ。ここの常連さんにしか出さないんですよ、いります?」


…食べたい。

「お願いしいます」

「・・・・」

・・・あれ?藤岡部長の動きが止まった。

「…あの、藤岡部長?」
「…笑った」

「・・・は?」
「…今、僕に、笑顔で言ってくれましたね」

…そそられるメニューに、・・・つい、素の自分が出てしまったようだ。

藤岡部長が、満面の笑みを見せた。…反則だ、その笑顔は。

「今日は、僕にとって、最高に幸せな一日になりました」

…たかが、笑顔一つ、見せただけなのに?
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