優しい上司の裏の顔〜ツンデレ女子を溺愛中〜(おまけ完)
「…お前も、その辺にしといたら、仕事」

そう言いながら、時計を指差して時間を教える。…9時を回ったところだった。

…うん、仕事も区切りがいい所だし、また明日来てからすればいい。

「…教えてくれて、ありがとう。私もそろそろ帰ろうかな」
「…なぁ」

「・・・ん?」

後片付けをしながら、晶の言葉に耳を傾ける。

「家に帰るだけならさ、一緒に晩飯食っていかないか?」
「・・・」

…困った提案だ。同じ部署になったから、考えないようにしていた。
…やっぱり、元カレと食事に行くのは、いかがなものかと。

私の顔を見た晶が、クスクスと笑い始めた。

「な、何で笑うの?」
「…お前って、昔もそうだったけどさ、考えてる事が顔に出過ぎ」

・・・エ?!…そんなに顔に出ていたかな?思わず、顔に手を当てる。

「付き合ってたのなんて、もう何年も前の話しだろ?今夜は、上司と部下って言う関係で、飯に誘ってんの」

「…上司に向かって、偉そうな物言いね」

そう言うと、2人で吹き出してしまった。…なんだか変な気分だ。

「…それでは有藤部長、私と食事に行っていただけますか?」
「・・・はいはい、わかりました」

・・・晶は、私の機嫌取りが上手い。…何年も会ってなかったのかなんて嘘みたいに、普通でいられる。
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