ホワイトデーの奇跡【完】
その後は、もう
正直、何が起きたかはっきりと覚えていなかった。
なぜかゴルフクラブを持ったたまちゃんが部屋にいて。
ひたすらたまちゃんの怒鳴り声が響いていて。
たまちゃんのお母さんもいて。
パトカーのサイレンが聞こえてきて。
それで――ああ…みんなに知られちゃったんだって
ただ漠然と、失望して。
それら一連の惨劇を
私は、まるで他人事のようにぼんやりと見ていた。
放心状態で、窓にもたれかかって座る私を
たまちゃんが揺さぶって。
「さくらっ、さくらっ、さくらああぁぁっ!」
聞いたこともないような悲痛な声で
ずっと私の名前を呼び続ける声を最後に
私の意識は途切れた…――