ホワイトデーの奇跡【完】
『…たまちゃん、ちょっと図書室寄ってもいいかな?』
「うん、いいよ」
騒がしい教室の中、私は急ぎ足で図書室に向かった。
図書室は本の貸出の他に
コピー機が無料で使えるから
テスト前は込み合っているのに。
テスト最終日前日ということもあって、図書室には数人しかいなかった。
「なにコピーすんの?」
『…あ…うん』
ルーズリーフをたまちゃんに見えないように角度をづらしてみたけど…。
「……それ」
意味がなかった。
しっかりと、見えたらしい。
少し機嫌の悪くなった声が降ってきた。
『あ、うん…ちょうど持ち歩いてたから…まだ教室にいたら渡そうかなって』
「ふーん…別に、いいんじゃない」
うぅ…思ってないくせに…。
コピーをとり終えた私は、もう一度教室に引き返した。