ホワイトデーの奇跡【完】
先に口を開いたのは
私の隣でずっと黙っていたたまちゃんだった。
「いいんじゃないの…」
『えっ…』
「噂通りすっごい変わり者だけど」
たまちゃん?
「くそ真面目そうだし、星にしか興味なさそうだし…あたしも安心。…武藤もいるし」
『…たまちゃん?』
「気になったんなら、一度行ってみれば」
『……』
何で、わかったんだろう。
ちょっとだけでも行ってみたいなって、思ったことも。
でもそこまでの一歩の勇気が出せないでいたことを。
「帰り遅くなったら、どうせ武藤あたりが送ってくれるんだろうし」
『……たまちゃ』
ちょっとだけ、横顔が寂しそうに見えたのは、私の気のせいかな…。
たまちゃん――と声をかけるはずだったのに。
最後まで言葉が続かなった。