ホワイトデーの奇跡【完】


先に口を開いたのは

私の隣でずっと黙っていたたまちゃんだった。



「いいんじゃないの…」


『えっ…』


「噂通りすっごい変わり者だけど」



たまちゃん?



「くそ真面目そうだし、星にしか興味なさそうだし…あたしも安心。…武藤もいるし」


『…たまちゃん?』


「気になったんなら、一度行ってみれば」


『……』



何で、わかったんだろう。

ちょっとだけでも行ってみたいなって、思ったことも。

でもそこまでの一歩の勇気が出せないでいたことを。



「帰り遅くなったら、どうせ武藤あたりが送ってくれるんだろうし」


『……たまちゃ』



ちょっとだけ、横顔が寂しそうに見えたのは、私の気のせいかな…。

たまちゃん――と声をかけるはずだったのに。

最後まで言葉が続かなった。





< 135 / 411 >

この作品をシェア

pagetop