ホワイトデーの奇跡【完】
『…えっ』
だって、たまちゃんが。
静かに涙を流していたから。
声を震わせることもなく
顔色を変えることなく
ただ、ツーっとたまちゃんの頬を
涙の粒が流れていた。
「さくらはどう思ってたか知らないけどさ、あたし自分がやってること面倒とか思ったこと一度もなかったから」
『えっ…』
「毎日さくらと登下校して学校でも常に一緒で、遊ぶときも…さくらはどう思ってたか知らないけど。確かに…あの事件があって…義務感とか負い目を100%感じてなかったって言えば嘘だよ」
『……』
「ただ、99%はあたしの意志」
たまちゃん。
「さくらの隣が一番居心地がいいから、あたしがさくらと一緒にいたくて、さくらの隣を誰にもとられたくなくて…」
私もだよ。
私も一緒だよ…。
たまちゃんの隣は温かいから、それに甘えて、甘え続けてた。
「…あたしがいないと、ダメなようにしてた無意識に」
『そんなことっ』
「さくらは本当は強いのにさ」
『……私、そんな』
「むかつくけど、武藤の言った通り。さくらの自由、誰を特別に思おうが
星を見ようが、決めるのはさくらなのに。あたしの方が、全然ダメなんだよ…」
『…たまちゃん』