ホワイトデーの奇跡【完】
「宮本がおかーさんになる気持ちが分かる」
『…おかーさんって…たまちゃん?』
「うん」
『…そ、そうなの?』
「警戒心はあるくせに、無防備にかわいいから。これは、心配だろうな」
武藤くんの声は、変わらず冷静で。
サラッとかわいいと言うものだから、私の体温はまた上昇した。
そんな私を見て
武藤くんが“クスッ”と笑った声が聞こえたような気がしたけど。
背の高い武藤くんの顔を見上げる余裕は
今の私にはなかった。