ホワイトデーの奇跡【完】





『…どけて、下さい』





正直……

少し、怖かった。



視覚からも

嗅覚からも

龍平さんが…私の知ってる龍平さんじゃないように思えて。








「無理」





『……龍平さん…酔ってるんですか?』







ドキドキするような甘い雰囲気なんかじゃなかった。


私のことを射るように真っ直ぐ見る龍平さんの目は、何を考えてるかわからないくて。


龍平さんなのに、龍平さんに思えなくて。





一刻も早く

この場から逃げたかった。






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