ホワイトデーの奇跡【完】
『やっ…やだっ』
なに…。
何が、起きてるの?
体が固まって動けない私をよそに
龍平さんの顔は私の胸へと下がっていく。
『…やだっ…やめ………やめて…龍平さん…』
ガクガクと、唇が震えて
言葉が上手く出てこない。
怖い…龍平さんが…もう、龍平さんじゃない。
知らない人で…怖くて…。
「さくら……さくら」
制服のシャツの中に
龍平さんの手が入ってきて。
肌に、手が触れたとき――
何かが、プツッと切れた気がした。