ホワイトデーの奇跡【完】
酔っ払いから避難するために、2階のたまちゃんの部屋にきた私たち。
「さくらぁ」
本当はダメだけど、勢い余ってチューハイを飲んだたまちゃんの顔はほんのり赤い。
そして、語尾もおかしい。
『たまちゃん?』
もしかして、たまちゃんも酔ってる?
「ありがと…」
『…えっ?』
「にいとっ、仲直りしてくれてっ」
『……うん』
龍平さんとは、あの夜から会ってない。
職場に近いところで一人暮らしをしてる龍平さんと私が会うことなんて、まずないから。
お互いに避けてるとかじゃなく、本当に会う機会がなくなった。