ホワイトデーの奇跡【完】
『…いたっ……』
キツく、抱きしめられた体に、龍平さんの心臓が早く動く音を感じた。
私のドキドキする心音なんて、隠してしまうくらい。
龍平さんの大きな心音に、龍平さんの緊張も伝わってきた。
それが、嬉しくて…幸せで…
目をキュッと閉じて、その音を感じていた。
次に聞こえてきたのは、龍平さんの小さな声。
「さくらっ……さくらっ」
私の耳元で、何度も何度も。
私の名前を呼ぶ声。
その声が…震えていることに気づいたとき
龍平さんへの愛しさがより大きくなった。