ホワイトデーの奇跡【完】
14日になっても、眠れなくて。
思い切ってベッドから出た私は、何気なくカーテンを開けて空を見た。
ぶるっと鳥肌が立ったのは、温かいベッドから出たからじゃない。
『ぁっ……きれい…』
真っ暗な世界に、
真っ白なスノーパウダーが、
音を立てることなく降り注いでいた。
ゆっくりと、優しく、
ふわふわした雪が辺り一面を白くさせて、
道路には白い絨毯が敷かれていく。
その美しい世界に眠気は完全に飛んで。
寒さも気にせず、思わず窓を開けていた。
『わっ…つめた……わあぁ』
頬にふわふわの雪のつぶが当たる。
寒くて、冷たいのに、笑顔になってしまうのは雪の魔法なのかな…。
『お母さんお父さんも…見てるかな』
3月13日はお母さんとお父さんの結婚記念日。
2人は1泊2日で温泉に行ってたから、家の中には私一人だけだった。