夏とラムネと入道雲
空はひとつ
ビビっているあたしの姿に気を使ってくれたのかさっきの男の子があたしの手から瓶を取って開けてくれた。
「ありがと…」
こっ…これはひとつの出会いになるんじゃないっ?!外見は文句ナシ!さりげない優しさ。ちょっと頑張ってみよう!!
あたしはさっきまでのロウテンションからバカみたいにハイテンションにスイッチが切り替わる。
名前を聞き出したくてそのまま店の前でラムネを飲んで話し掛けた。
「あのさ…なんで空の写真なんて撮ってたの?」
駄菓子屋の前に置かれた赤いベンチの上に座って携帯をカチカチとしている男の子。
「県外にいる彼女に送るため。今日はきれいな空だし。」
ぷっ!!彼女いるのかよっ!!線香花火のように早くそしてはかなくも散っていったあたしの恋。
いや、まだ恋も始まってもいないか。
またまたあたしのテンションは下がっていく。