春よ恋。
五番の席には誰かが座っていた。

梨華…ごめん…
ほんとにごめん…


「にーな!どこ見てんの?後ろ後ろ!」

梨華の声が確かに後ろから聞こえた。

振り返ると満足したような顔で
17番の紙を見せる梨華がいた。


「5番だと思ったでしょ?
実は17ばーん!
何泣きそうな顔してんのばーか!」

バカは梨華でしょ。
だってあなたが座ってるのは
男子の18番の人の席だよ。

でもほんとに安心した。
梨華のあんなに不機嫌そうな声
あれは小さい頃に
聞いたことがあった気がした。
決まって梨華が起こっている時だった。

でもほんとうによかった。
しかもほんとの17番は斜め後ろで
給食の班もおなじだから。



「ちょい。邪魔。そこ18。」

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