君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
スラックス。
Tシャツ、ワイシャツ。
…ベルト。
それらが順々に身体を覆って、見慣れた姿ができあがっていく。
その身体には、服を着ている時にはわからない筋肉がしっかりついていることを、最近知った。
「新庄さんて、着やせしますね」
「ん…」
手早い着替えに見入りながら思ったことを言うと、彼が何かを言いかけて、やめた。
「…『よく言われる』?」
思わず冷ややかな声になる私に、勘弁しろよ、とワイシャツの袖をとめながら苦笑する。
新庄さんは、クローゼットから小振りのスーツケースを取り出して。
呪われてんのかな。
そう、つぶやいた。