君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
呪われてるのかも。
私も、いい加減そう思いたくなる。
初めて好きだと言ってくれたあの夜に、私の都合でお流れになってから、何度かそういうチャンスはあったのだけれど、ことごとくつぶれて。
結局何もできないまま、ついに年度までまたいでしまった。
二度目の時は、私の携帯がしつこく鳴り続け。
切っておけばよかったと後悔しながら渋々出ると、最もその気をなくさせる、妹の声がした。
『どこにいるのよ。今日泊めてって、言ったじゃん』
「明日って聞いてたけど」
沈黙。
『その予定だったのを、今日にしたんだけど』
そういえば、伝えるの忘れてたかも。
通話中の携帯に耳を寄せていた新庄さんが、半分裸の身体を離す。
「行ってやれ」
そうするしかない。
この春大学生になり、上京してきた妹は、当時、まだ住む部屋を探している最中で、足場にしようと私の部屋にやってきたのだった。
鍵を持たせてもいないから、私が行かないと入れない。
「すみません…」
早くも煙草に火をつけている新庄さんに謝りながら、起きあがって服を直す。
これ吸ったら送ってく、と新庄さんが言ってくれた。