君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
ラグにあぐらをかいて、昨日のぶんの経済新聞を開きながら、新庄さんが訊いた。
「来てすぐ帰ったんじゃないのか」
「まあ、そんなところです」
なあんだ。
手を握ってくれたのは、覚えてないのか。
「何か、話があったんだろ、聞くよ」
「え?」
私、そんなこと言ったっけ。
新庄さんは、違うのか、と眉を上げた。
「ここんところ変だったし、出張前に会おうとか、珍しかったから」
何か、相談でもあるのかと思った。
そう言う新庄さんに、私は本当にこの人が好きだなあと実感して。
やっぱり上司運がいいなあと思った。
「じゃあ、訊きたいことがあるんですが、答えてもらえます?」
「うん」
八つ割りにしたりんごをひとつ、フォークに刺して差し出す。
パスタとかの、普通のフォークだ。
この家には、デザートフォークなんて用途の狭いものは存在しないので、仕方ない。
新聞に目を向けたまま、新庄さんがそれをかじる。
「私のどこが好きですか?」
「来てすぐ帰ったんじゃないのか」
「まあ、そんなところです」
なあんだ。
手を握ってくれたのは、覚えてないのか。
「何か、話があったんだろ、聞くよ」
「え?」
私、そんなこと言ったっけ。
新庄さんは、違うのか、と眉を上げた。
「ここんところ変だったし、出張前に会おうとか、珍しかったから」
何か、相談でもあるのかと思った。
そう言う新庄さんに、私は本当にこの人が好きだなあと実感して。
やっぱり上司運がいいなあと思った。
「じゃあ、訊きたいことがあるんですが、答えてもらえます?」
「うん」
八つ割りにしたりんごをひとつ、フォークに刺して差し出す。
パスタとかの、普通のフォークだ。
この家には、デザートフォークなんて用途の狭いものは存在しないので、仕方ない。
新聞に目を向けたまま、新庄さんがそれをかじる。
「私のどこが好きですか?」