君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
新庄さんが、りんごを口に入れたまま、目を見開いて、こちらを見た。
訊いてみたかった。
三ツ谷くんが、私のどこをそんなに気に入ったのかと疑問に思ううち、そういえば新庄さんは、私のどこを好もしく思ったんだろうと、今さらながら不思議になったのだ。
新庄さんは、ゆっくり咀嚼しながら、新聞を眺める。
読んでいるようで、たぶん読んでいない。
うかつに「うん」と言ってしまったのを、後悔しているんだろう。
かなり待っても返答が来ないので、りんごの残り半分を差し出すと、お前は? と言われた。
「え?」
「お前は、俺のどこが好きなんだ」
そう言って、私を見ながら、りんごに噛みつく。
「どこって言われても…」
ついそう口にしてしまい、ハメられたと気づいた。
新庄さんが、口を動かしながら、冷たい視線を送ってくる。
「じゃあ、質問を変えます。いつから私を好きでした?」
「パス」
パスって、なんだ。
新庄さんはすっかり余裕を取り戻して、新聞を読んでいる。
これなら答えてくれるかと、最後のつもりで訊いてみた。
「私は、どういう部下でした?」
訊いてみたかった。
三ツ谷くんが、私のどこをそんなに気に入ったのかと疑問に思ううち、そういえば新庄さんは、私のどこを好もしく思ったんだろうと、今さらながら不思議になったのだ。
新庄さんは、ゆっくり咀嚼しながら、新聞を眺める。
読んでいるようで、たぶん読んでいない。
うかつに「うん」と言ってしまったのを、後悔しているんだろう。
かなり待っても返答が来ないので、りんごの残り半分を差し出すと、お前は? と言われた。
「え?」
「お前は、俺のどこが好きなんだ」
そう言って、私を見ながら、りんごに噛みつく。
「どこって言われても…」
ついそう口にしてしまい、ハメられたと気づいた。
新庄さんが、口を動かしながら、冷たい視線を送ってくる。
「じゃあ、質問を変えます。いつから私を好きでした?」
「パス」
パスって、なんだ。
新庄さんはすっかり余裕を取り戻して、新聞を読んでいる。
これなら答えてくれるかと、最後のつもりで訊いてみた。
「私は、どういう部下でした?」