君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「新庄さん、どうぞ」
濡れた髪をまとめながら、出張用に持っていた部屋着を着て、バスルームを出る。
新庄さんは、これからシャワーだというのに、もう煙草を吸っていた。
本当に、ノースモーキング・ノーライフを地で行く人だ。
結局、新庄さんは朝までこんこんと眠り続け、その間、一度も私を離してくれなかった。
私は、新庄さんより早く目が覚めて、少しの間、また寝顔を眺めていた。
ふと、まぶたが震えたと思うと、ぱかっと目が開いて、はっと身体を起こした新庄さんは、私と目が合うと、一瞬ですべてを察したようだった。
「悪い…」
珍しく、心の底から申し訳ないと思っているような声を出して、腕に顔をうずめる。
ようやく解放された私は、シャワーお借りしていいですか、とだけ言い、しばらく反省させておくことにした。