君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)


「新庄さん、どうぞ」


濡れた髪をまとめながら、出張用に持っていた部屋着を着て、バスルームを出る。

新庄さんは、これからシャワーだというのに、もう煙草を吸っていた。
本当に、ノースモーキング・ノーライフを地で行く人だ。

結局、新庄さんは朝までこんこんと眠り続け、その間、一度も私を離してくれなかった。

私は、新庄さんより早く目が覚めて、少しの間、また寝顔を眺めていた。

ふと、まぶたが震えたと思うと、ぱかっと目が開いて、はっと身体を起こした新庄さんは、私と目が合うと、一瞬ですべてを察したようだった。


「悪い…」


珍しく、心の底から申し訳ないと思っているような声を出して、腕に顔をうずめる。

ようやく解放された私は、シャワーお借りしていいですか、とだけ言い、しばらく反省させておくことにした。

< 69 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop