君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「新人は、どうなった」
『そっちに行くはずだったのと、トレードさせる予定。たぶん、ねじ込める』
「お前から見て、どうだ」
『好みからいえば、完成しすぎ。でも新人にしちゃ使えるよ。鍛えてやってもいいんじゃない』
お前が一度つぶしてやれば、殻がやぶれるかも、と堤さんが恐ろしいことを言う。
新庄さんは鼻で笑って、ところで、と続けた。
「大塚が、世話になったらしいな」
二度目の台詞に、堤さんが一瞬沈黙する。
くすりと笑う気配がして、そうそう、と楽しそうに言った。
『すらっとして見えるのに、意外とメリハリがあって、なかなか魅力的な身体だね』
げ…。
そんなにあちこち、触られたっけ。
新庄さんが、あせる私をじろりと見て、携帯を向こう側の手に持ちかえると、空いた手で私の腰を引き寄せた。
急に引かれてバランスを崩した私は、胸に抱きつくような恰好になる。
わっ、という声をとっさに飲みこんだ。
新庄さんは、なぜか妙に自信満々な声で。
「今ごろ気づいたか」
そう言い放って乱暴に携帯を閉じると、腕の中の私に、これまた自信たっぷりの、濃厚なキスをくれた。
ああ、そうだ。
新庄さんも、私を選んでくれた人。