過去にはさよならを。
「放送で呼ばれてたけど。『西条きらさん、至急職員室に来てください』って」
「職員室……?」
思い当たる節はいくつもあった。
多分………日直かも知れない。日直は帰宅部の大野(おおの)に丸投げしたし。
「……真理。パート練任せていい?」
「別にいいけどさ………もうちょっとしっかりしなよ。あんた、パーリーでしょ?」
真理とは仲良く出来ないけど、“仲間”にはなれそうだと思ってる。
思ったことはすぐに伝えてくれるし………今みたいにちゃんと喝を入れてくれる。
「スパルタには限度があるよ?」
「は…?余計なお世話。」
あたしは楽器を真理に任せて、取り柄の俊足で渡り廊下を駆けた。