過去にはさよならを。





「西条………廊下は走るな。」




途中で学年主任の佐渡(さわたり)先生に怒られたけど、あたしは足を止めない。



二番目に走るのが好きだから。


一番目はもちろん、楽器を吹いてる時。




何もかも忘れられてスッキリするし、………走ってる最中にビックリする人の顔が見たいから。




頭に色々な考えを巡らせてる内にあっという間に職員室前に到着した。




職員室のドア付近にある掲示板を見つめる。




『吹奏楽部、地区突破おめでとう!』



周りに色々な楽器が描かれていて、上記の文字は上にでかでかと表示されてた。




「馬鹿みたい…………」


小さく誰にも聞こえないように呟いた。




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