軌跡
どの子にみんな、
紺色のブレザーとスカートに
赤い棒タイだ。
男子は学ラン。
皆のまっしろなスニーカーは、
スタートをより深く感じさせる。
遠くのほうが
ざわざわしている。
「あれって・・・」
「クラス替えじゃん!!!??」
「急ごう!」
あたしたちは走る。
「ね…ねぇ、はぁ…」
「ん…?」
「まゆみはさぁ、やっぱり…、大石くんと…同クラになりたいよねぇ?」
「当たり前!!!!」
ダッ。
あたしたちは人ごみのなかに
走っていった。
大石くん。
大石拓也。
あたしの片思いのひと。
「あ、あの窓ガラスにはってあるよ!」
「名前なまえ!!!」
必死で名前を探した。
あたしの…大石くんの…
いるはずのない彼の名前を。
1、
2、
3、
…
あ!
「さやかぁ!!あたし3組だよぉ!!」
3組って2階だよね。
よかったぁ…。
「さやか!さやかは何組!?」
「え…?」
嫌な予感。
「あたしぃ…
5組だよーーー!!!」
嘘ぉ!!!!
離れた。…ショック!