軌跡
言葉を失った。
「…あ…ぁ」
そこには確かに
『大石拓也』と
記されてあった。
ありえない。
うれしい・・・!
好きなひとと
同じクラスなんて、
嘘みたい…。
「あ、まゆみちゃん!」
「詩織!!!」
詩織。
内山詩織。
彼女とは
小5のときからの親友。
でも生まれつき
耳が悪くて、
両耳に補聴器をつけている。
「あたしも3組だよ」
「え!?」
嘘…嘘!!!
親友とも同じクラス!?
こんな偶然、あたしは今日、
最高についている!
でも、あたしたちに幸せなんて、
訪れるはずないのにね…。
真実を知るのは、
まだずっと先のこと・・・。