妬こうよ、そこはさ。
「ニュース終わった?」

「多分」

「一応テレビつけていい?」

「どうぞ」


リモコンを探して視線を泳がせる彼の手元に、ソファに同化していたリモコンを見つけて持っていく。


「ありがとう」

「うん」


つけたらすぐに猫が目に飛び込んできたけど、旦那さんは即行ボタンを押している。


ふわふわな毛並とつぶらな瞳の猫で可愛かったのに、あの可愛さに今はときめかないらしい。


それから何周か適当にチャンネルを変えてみても、結局どこもニュースではなかった。


いつも見るニュース中心の局でも、今は音楽番組をやっていて、ヤキモチがどうたら、という歌が流れている。


随分と大げさな歌詞、……サビだからかな。


と、いうか。


一度瞬きをして、頭の中を整理してみた。


ヤキモチ。

ヤキモチか。


悪くない。


私では彼も私もそんなに困らない内容くらいしか思いつかないから、それほど負担じゃないだろう。


かける迷惑にしたって、多分、ほんの少し。いつもより話しかけるくらい。


……これは試してみるのもいいかもしれない。


「駄目か」


時間帯に無理があったか、と呟く彼の声をどこか遠くに聞きながら、明日の予定を一通り洗う。


そっと唇を噛んだ。


明日は休日だ。試すにはいい機会だろう。


やって、みようか。
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