Rolling Love
 それはお父さんたちに相談しなきゃいけないし、お母さんがいなくなったら家事や家計の管理もしなくちゃいけないし、考えることがありすぎて現実逃避したいくらいだ。うう、頭痛い。お小遣いの管理くらいならできてる方だと思いたいけれど、家計の管理となると話が違う。ひと月に電気代がいくらかかってるとか、気にも留めてなかったけれど、そういうとこも考えながら生活する経験って、やっぱり必要だ。修ちゃんならひとり暮らししてたわけだし、ちょっと話聞けるかもしれない……。
 
 でも、やっぱり躊躇うし戸惑う。ただのはとこで幼馴染だったら、まだマシだったかもしれない。わたしが悩んでいるいちばんの原因は、はるか昔の幼稚園の頃の自分の言動にあった。
 よくある話といえばそれまでなのだけど、双子みたいに育った4歳の頃、修ちゃんは既にかっこよかった。いや、外見的には多分まだまだ可愛かったのだけれど、立ち居振る舞いが王子様然としていたのだ。いつもそばにいたわたしは、誰にも負けないと思えるほど修ちゃんが好きだった。正義感が強くて、曲がったことが嫌いで、それでいて優しい。そんな男の子が幼稚園生にしてモテないはずはなく、修ちゃんは幼稚園の同じクラスの女の子たちに大人気だった。
 そのことに、わたしは一丁前にモヤモヤしていた。今だからこう言い直せるけれど、要は嫉妬していたのだった。ついこの間までいつも一緒だった修ちゃんが、他の女の子にも優しくしているのを見るのが嫌だった。まったく、女の子というのは年齢なんて関係なく女の子なのだ、と否応なく考えさせられる。
 それである日、幼稚園の帰りの園バスを降りてから家まで帰る道の途中で、変な方向に思い切った4歳のわたしは、彼にこう聞いてしまったのだ。
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