今日もそれは鳴らない。


触れたそれは、やっぱり何てことのない、ただのガラクタだと思った。

そのまま床へと叩き付けようと、振りかざそうとした腕は虚しく動かすことができなくなる。


「...何、してるの?」

落ち着いていて優しい、けれどどこか怒っているような瞳を私に向ける彼がいた。


何も言わず、もう一度振りかざした私の腕を、彼はさらに強く掴んだ。


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