今日もそれは鳴らない。


「...きっと、私がこれを壊したら、貴方は二度と私に笑い掛けては、くれないんだろうね?」

そんな私の問いに、肯定も否定もしない彼は、私をそっと抱き締めた。

「ごめん、麻里」

「今さら、謝ったりしないでよ」


何度も私を傷付けておいて、そんなことすら気付いてなかったくせに、今さら謝るなんて狡い。

けれど、私を頼りさなげに抱き締める彼が、やっぱり愛しくて、どうしようもないのだ。



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