ただ、今


プリクラを撮りはじめて
あれやこれや
言いながら撮っていると
突然キスをされた。

放心状態になっていると

『なあ、あみ。俺の女になってよ。こんなやり方よくないってわかってるけどさ。やっぱお前の事、好きみたい。』

涙が出た。

プリクラを撮ってる途中
だったのも忘れて
プリクラ機の中で泣いた。

今でもそのプリクラは
実家の自分のタンスの中に
綺麗にしまってある。

結ばれた記念日だって
あえて泣いて
不細工なわたしの
プリクラを彼は選んだ。

「バカじやないの。」

やっと言えた言葉は
素直じゃない言葉で
でもひろちやんも
わかってくれているように
優しく笑いながら
服の袖で黙って
拭いてくれた。

『ねえ、あみ。返事。ちゃんと聞かせて?』

「いいに…いいに決まってんじゃん。ばか。」


< 21 / 79 >

この作品をシェア

pagetop