ただ、今
そうかすれた声で
わたしに言った。
ただ泣きながら
抱き締め返す事しか
出来なかった。
「ばか。当たり前じゃん。ひろちゃん、おかえり。」
『うん。ただいま。』
ねえ、ひろちゃん。
ただいまってゆったじゃん。
離れないでって
わたしにゆったじゃん。
どうして手を
話してしまったんだろう。
ひろちゃんの事
何一つ忘れないって
決めていたのに
今じゃあひろちゃんの事
思い出す事が
少なすぎて
どんどん淋しくなる。
また淋しいって
わたしにはもう
言ってはくれないね。