ただ、今



笑顔で言えた。

胸ぐらを掴み
わたしから
最後のキスを。


キスしてすぐ
両手で突き放し
振り向く事なく
急いで電車に乗り込んだ。

これでいい。
これでよかったんだ。


電車の中でも
崩れるように
しゃがみこみ
周りを気にせず泣き出した。


思い出される顔は
大好きなひろちゃんの
笑顔ばかりだった。
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